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​『 宗達 』あらすじ

​一幕

京都の扇屋「俵屋」の養子である伊年(いねん)の頭の中は、いつだって絵のことばかり。類稀なる絵の才能を持ちながら、おっとり穏やかな性格でぼんやりすることも多い伊年に、番頭の喜助は呆れ顔で言う。 「ええかげん、しっかりしてもらわんと!」 
 

そんな伊年と運命的な出会いを果たすのは、巫女神楽を率いる出雲阿国(いずものおくに)。のちに「天下一のかぶきをどり」と称される、エキゾチックな美しさを備えた阿国は、伊年の中の秘めたるものを見抜いて言う。 「鬼、これがあんたの、ほんまの顔や」
 

幼なじみ、大店の紙屋の次男坊の紙屋宗二(かんやそうじ)、貿易商として名高い角倉家の嫡男、角倉与一(すみのくらよいち)も、伊年と成長を共にする。彼らの前に圧倒的な存在感であらわれたのは、書の達人であり万能の文化人、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)。光悦は伊年たちの才能を見出しながらも、柔らかく、けれど決定的な力の差をしめす。扇絵という枠を超え、“美の巨人”光悦との共作を重ね、伊年は絵師としての更なる奥深さを幾度も経験し、しだいに自立への道を力強く歩んでいく。

​二幕

齢四十を過ぎ「俵屋」を継いだ伊年は、名を「宗達」と改めた。「俵屋」は今や“京で一番”の扇屋である。絵師として多くの経験を積んだ宗達、いまや貫禄もある。結婚もした。妻「みつ」とは仲むつまじい。

そんな夏のある日、雷鳴轟く激しい夕立のなか店にあらわれたのは、公家名門の若公卿、烏丸光広(からすまるみつひろ)。 「俵屋宗達いうんは、あんたはんどすか?」 ひょうひょうとした態度で振る舞う光広は、宗達に仕事を依頼する。「みつ」は嫌な予感がしているが、案の定、宗達は光広によって、再び“美の最前線”へと引っ張り出されることになる。意気投合した二人は、襖絵、屏風絵と、数々の作品を手がけてゆく。

すっかり歳をとった宗達。美の境地に達しようとするその志は、墨絵にも関心が向いてゆく。幼なじみ、同志たちは、ひとりひとりこの世を去っていく。途方もない寂しさが込み上げる、そんな中、伏見醍醐寺、座主の三宝院覚定(さんぽういんかくじょう)から、とある屏風絵の依頼がくる。宗達は静かに考えてから、そして答える。 「どうでっしゃろ。この仕事、来年いっぱい頂けまへんやろか」

その言葉の裏には、誰も辿り着くことのできない深い意味があった。桜の花びら舞い散る春、妻みつと阿国は初めて出会う。二人は覚定の案内で、宗達があの時に依頼された屏風絵をみて、感慨にふける。すでに宗達はこの世に別れを告げているのだ。みつは、宗達の死後に仕事場に唯一残された、もうひとつの屏風絵も見て欲しいと、阿国に話す。覚定も阿国に告げる。 「見てもろたら分かりますが、まあ、えらいもんどすわ」 宗達が残した最後の絵。それは印もなく、自分の存在を残すためだけに描かれたような、圧倒的な…。

配役

俵屋宗達(伊年) 中川賢

 

本阿弥光悦 辰巳満次郎

烏丸光広 高岸直樹

出雲阿国 本島美和

 

紙屋宗二 林田海里

角倉与一 櫛田祥光

 

みつ 窪田夏朋

 

喜助 小出顕太郎

三宝院門跡覚定 小川莉伯

 

太閤秀吉 小川莉伯

花見客 池ヶ谷奏 古尾谷莉奈 萩原ゆうき 河村美来 細井佑季

 

黒衣
森本天子 小出顕太郎 宮本祐宣 飯島大河 大場由紀乃 仲程美優 廣瀬麻理花 堀友香 刀祢平美咲 中村安里 小形友美 星野裕菜 山口京香 塩塚花奈 神田日菜 長尾彩希

 

巫女 古尾谷莉奈 河村美来 細井佑季 廣瀬麻理花

 

民衆

池ヶ谷奏 古尾谷莉奈 萩原ゆうき 河村美来 窪田夏朋 田中杏奈 森田維央 小川莉伯 飯島大河

杉本真耶 朝井美菜満 室屋しおり 佐々木梨音 尾崎くるみ 高橋梨花子 仲程美優

山田瑠渚 原彩葉 向新千晴 本山愛莉 千速航貴 原海人 原岳人

光悦の文字 森本天子 小川莉伯

 

鶴 古尾谷莉奈 河村美来 橋本侑佳 細井佑季 窪田夏朋 田中杏奈 室屋しおり 大場由紀乃 堀友香

 

唐獅子 池ヶ谷奏 森本天子

白象 萩原ゆうき 田中杏奈

 

松 小出顕太郎 森田維央 池ヶ谷奏 森本天子 萩原ゆうき 田中杏奈 高橋梨花子

 

澪標屏風の人々 宮本佑宣 古尾谷莉奈 河村美来 橋本侑佳 細井佑季 室屋しおり 廣瀬麻理花 堀友香 飯島大河

 

見習い 千速航貴

紙屋宗二(子供) 原海人

角倉与一(子供) 原岳人

 

和太鼓  小林太郎  渡邊梨央 

箏  吉澤延隆 

薩摩琵琶  鎌田薫水 

篠笛・尺八  佃康史

神楽笛  秋吉沙羅

​俵屋宗達 作

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